・建築現場で使用される機械や器具
・使い方や使い勝手
現場で使用される器具
建築現場で使用される長さを計測する器具には様々なものがあります。
そのなかでも一般でもよく使われるメジャー(スケール)を使う機会が断然に多いですが、土地上に建物の位置出しを行う際などの長い距離を測量したいとき、また部材をミリ単位で長さを測りたい時などシーンによって長さを計測する器具を使い分けます。
建築の工事現場では効率よく、精度よく長さを測りながら建築しています。プロの使用する道具はどのようなものがあるのか、この記事で紹介しています。
長距離を測りたいとき
ここで言う長距離とは、5m~100mまたはそれ以上とします。長距離を測量・計測したい時に使う物を紹介します。
・光波
・巻尺
・テープロッド
・レーザー測定器
などが主な器具となります。
それぞれに特徴があるので、簡単にまとめます。
測量の精密さ | 測量に必要な人数 | 現場でよく使うシーン | |
---|---|---|---|
光波 | 精密 | 2人 | 建物の基準墨出し |
巻尺 | やや精密 | 2人 | 杭芯出し・仮設工事 |
テープロッド | 精密ではない | 1人(2人) | 長物の写真撮影 |
レーザー測定器 | 精密 | 1人 | 壁~壁の距離測定など |
光波
長距離で一番精密に測れる器具はこれです。トータルステーションとも呼ばれ、角度と距離を測量出来る機械です。
使用するタイミング
精度が非常に優れているところから工事現場では頻繁に使用される機械で、以下のような時に使用されることが多いです。
・土地の境界(面積)確認
・土地上の建物の位置出し
・建物の基準墨出し
・鉄骨の倒れ確認
・外構工事(塀・側溝の位置出し)など
使用方法
使用方法は三脚を立ててトータルステーションを三脚にセットします。
1人が機械を使用して、もう1人がプリズムを持ち、機械の据付け位置~プリズムまでの距離を精密に測量できます。
巻尺
・地面の凹凸を拾う
テープロッド
現場管理の写真撮影で主に使用する物です。杭などの長い部材を写真で記録するのに、写真でも目盛りが見やすくなっています。
テープロッドは5㎜単位の目盛りとなっており、1㎜単位で測るものではありません。
スタンド付きとついていない物があり、スタンド付きであれば一人でも長距離を測ることが可能です。(少し大変ですが)
テープロッドの長さは25mまであります。テープ幅にも種類があり60㎜・100㎜・120㎜などの種類があります。
長距離の測量をしているとテープ幅の狭いものは風でなびいてしまうなど、効率が悪くなる場合があります。また写真撮影で使用するシーンが多いので100㎜幅程度がやはり見やすいです。
使うシーンに合わせて長さ・幅を選定しましょう。
レーザー測定器
レーザー測定器は非常に便利で、ボタン一つで長さを測定してくれます。
スケールや巻尺などのように、目盛りの書かれたテープを伸ばして巻いてといった煩わしさはありません。
ただし使用するシーンにより、使える使えないの差が激しいので自分の使いたい用途と見比べる必要があります。
向いているケース
レーザー測定器はその名の通り機械からレーザーが出て、レーザーが壁なり地面なり、何かにあたった所までの距離を正確に出してくれます。
・壁~壁
(家具や、棚を設置する場所の寸法確認など)
・壁~天井
(部屋の高さの確認など)
・自分が立っている所から測量点までの大雑把な距離
(外で自分の位置から建物の壁など)
以上のような場合は、レーザー測定器は有効です。
少し詳しく説明します。手で機械を持って測量すると、その手で持った、ボタンを押した瞬間の位置から対象の物までの距離が機械にでます。
機械は精密に距離を出してくれますが、正確な距離を測りたい場合は機械の位置も正確な位置でなければなりません。もっと言えば機械が斜めだと斜め距離で出ます。レーザーが当たる所も正確な位置でなければなりません。
よって手で持たずに、地面に置いて使用すると機械の位置がぶれないので測りたい正確な距離が出ます。
地面が凸凹や斜めの場合は三脚対応のレーザー測定器を使用します。
地面に置いて横にレーザーを出せば壁~壁の距離
縦にレーザーを出せば床~天井までの正確な長さが機械に出ます。
工事では新築工事ではあまり使用しなく、改修工事では重宝します。
また外で長距離を測る場合はレーザーがどこに当たったのかを確認するのが難しいです。
立った位置から数十m先を測ろうとしても、どこの位置までを測っているのかが解りません。建物の壁などをめがけてレーザーを飛ばすなどは有効で、地面をめがけてレーザーを飛ばすのはあまり向いていないです。
向いていないケース
向いているケースで解説をした通り、以下のような場合が向いていないです。
・点~点で正確な長距離を測定する場合
(㎜単位で測量する場合)
・レーザーがあたる壁などが無い場合
(木材を切るのに長さを測りたい場合など)
中距離を測定したい時
ここで言う中距離とは、長さ1㎜~5m程度までの距離を言います。長さを測る時に使用する器具を紹介します。
・スケール(メジャー)
・差し金
スケール(メジャー)
言わずと知れた、長さを測るには王道の道具です。
工事ではJIS1級品の物を使用します。
(スケールを伸ばすと10㎝あたりの所にJISと書いています)
巻尺などもそうですが、JIS1級品はテープの伸び等による誤差が低く信頼できる品質です。
・長さは5.5mや7.5mなどの種類が主流
・テープの色が黄色と白とがある
・スケールの先に磁石がついているものとついていないものがある
スケールを選ぶポイントとしては以上のような種類があり、テープの色は見やすさで選び、磁石は鉄物を測る場合にくっついて測りやすいなど色々選べる要素があります。
差し金
差し金は木工事をするときには必須です。スケール(メジャー)などで代用がきくことから、業界の人以外にはこの便利さはあまり知られていないと思います。
どのような時に便利なのかを紹介すると、
・木を切る時の墨付け作業
・水平、垂直の確認作業
・物を切る時の定規として使用
などが挙げられます。
木を切る時の墨付け作業
具体的にどう使用するかを説明します。長い木材を5等分に切断すると仮定します。
差し金が無い場合
手順1
切りたい長さに墨付けします。次に直角に切るため反対にも墨付けを行います。
手順2
次に墨付けした点と点を定規で結びます。
手順3
手順4
最後に、墨に合わせて切断します。
差し金がある場合
手順1
切りたい長さに墨を付けます。(40㎝の位置)
手順2
木材に差し金をあてて、墨に合わせて線を引きます。
手順3
切断
差し金がある場合と無い場合でひと手間減ります。
たったそれだけですが、2mの木材を5等分にするとすると40㎝、80㎝、120㎝、160㎝の位置に墨を付ける必要があり、木の4面に墨をつけるとすると手数も増える為、墨付けをする時間が倍以上短縮されます。
またベニヤに墨付けをする場合なども重宝します。
水平、垂直の確認作業
床が水平な場所で、床に差し金をあてて直角に立てます。差し金は直角なので垂直が解ります。
対象の物に差し金をあてがうだけで、垂直かどうか簡単に見ることが出来ます。
物を切る時の定規として使用
3㎜~5㎜程度の薄ベニヤだと、両面にカッターを入れるだけで折り曲げればきれいに折れます。
カッター入れなどの定規としてあると便利です。
以上のように差し金は現場で大活躍します。
長辺が50㎝程度の物と30㎝程度の物があり、使いたいシーンに合わせて選ぶとよいでしょう。軽作業でしたら30㎝の物が使い勝手が良いです。
短距離を測りたいとき
ここで言う短距離とは、1㎜以下の精度で測りたい時に使用する物を紹介します。
・ノギス
ノギス
ノギスには数値が電子表示の物と、自分の目で目盛りを読むものとがあります。パッと解る電子表示のノギスが現場では重宝します。
またノギス自体の長さは長くて30㎝程度です。そのなかで1㎜以下の単位まで正確に測れます。
現場ではコンクリートのクラック幅や製品検査などの特定したときに使います。製品検査では鉄板の厚みを正確に測りたい場合や、小さい隙間の長さを知りたい場合などに使用します。
まとめ
以上のように測りたい長さに応じて様々な測量器具があります。
長距離で紹介したものでは中距離を測れないなどと言う訳では無いので、使いたい内容にあった測量器具が見つかれば幸いです。
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