今建てるべき?現場監督目線で考える住宅建築のタイミング

その他
・新築するタイミングを考察
・建築費用面での良い着工時期
・建築施工面での良い着工時期
コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などを境に様々な理由で高騰した建築・住宅市場
住宅の新築を検討している場合いつ建てるのがベストなのか。このページでは建築費用と施工時期を考え、いつ建てるのがベストなのかを紹介しています。

家を建てるタイミングはいつが良い?

結論から言うと、今建てるのが一番良いです。

詳しい理由は後述しますが、一番大きい点は法律で建設業の働き方にメスが入ります。今まで当たり前だった長時間労働の改善で時間外労働の上限が規制されます。「建設業の2024年問題」と称され業界の人材不足を背景に、様々な施策が取られて建築費(管理費や経費)が見直されて費用アップの要因となっています。

また「マイナス金利の解除」で住宅ローンの金利の上昇も総支払額の上昇に繋がる要因となっています。

新築を行うにあたり他にも燃料の高騰などの建設費用が増える要因はたくさんありますが、逆に下がる要因というのはほぼ無いのが現状といえます。

来年・再来年と待つよりは、すぐに行動に移すのが得策

1年の中でいつ建てるのが良い?

今建てるのが良いといっても、1年の中でも良い時期とそうでない時期があります。

施工的な面と費用面を分けて解説します。

費用面

費用面は「国・自治体の補助金」と「建設会社の仮設費、諸費用」で影響してきます。

補助金

近年では毎年何かしらの補助金が出ます。特に補助金額が大きいのは高い省エネ性能の家を建てることにより補助が出ます。長期優良住宅だと100万円の補助を受けられたり、ZEH住宅の場合は80万円の補助金が出ます。

詳しくは国土交通省のHP内の令和6年度支援事業に記載されています。

年度ごとに補助金の予算が決められており、予算上限に達した時点で補助金を受けられなくなります。令和6年度は子育てエコホーム支援事業という名目で新築の補助予算は2,100億円、令和5年度は「こどもエコすまい支援事業」で予算総額1709億3500万円でした。令和5年度は9月28日に予算上限に達して終了しました。

予算額に対して何パーセントの申請があったか毎月HPで更新されています。

この補助金をうまく使うことにより、最大100万円浮かすことができるので使わない手はないです。

・補助金を受けるには早い時期での新築が有利

建設会社の仮設費、諸費用

建設する時期によりコストが増えることがあります。

例えば降雪地域の冬の建築をしたとします。そうすると冬季養生(採暖や雪よけなど)が発生するので発生する仮設費などのコストが夏場よりも増えます。

詳しくは別記事【降雪地域】冬の建設は金額アップ!建築費用が上がる理由は?コストについて触れています。
また秋~冬にかけて新築し、家の外装だけ雪が降る前に出来てしまえばそれほど大きなコストアップには繋がりません。
春~夏にかけては集中して着工する案件があるなど、繁忙期になることが多いです。
建設会社からすると繁忙期を避けた時期に建てられるというのはメリットになる場合があります。人を動かす力のある大手ハウスメーカーより中小工務店は特にです。
設計、現場管理者、職人の人員は限られています。仕事の時期を建設会社側で調整できることにより、1年を通してバランスよく売上げを得ることができます。
「仕事が薄い時期に合わせるので、少し安く建てられませんか」など建設会社側の事情もくみ取りながら施工時期を交渉することにより上手くコミットすればお互いにメリットに繋がる場合があります。
・建設する時期に予定がないなら建設会社との交渉も得策

施工面

建設費用面では補助金が使えるなるべく早い時期がよく、かつ施工時期の交渉によりコミットすればなお良いと解説しました。

次に着工~引渡しまでの工期の中で家を建てるのに良い時期を解説します。

新築施工を確保するうえでは、必ずこの時期が良い!ということは無いです。施工品質や工程を考えたうえでなるべくこの時期は避けたほうが良いという目線で解説します。

・雨、雪などの天候
・外構工事のタイミング

上記のタイミングで品質や引渡し後に影響します。

気温

地域により事情が色々変わります。
気温が高すぎたり低すぎる場合や、施工中の雨により品質が悪くなるポイントがあります。

気温で品質が1番影響すると考えられるのがコンクリートの施工です。
コンクリートは基礎で必ず施工されます。着工して約1カ月の間に捨てCON、ベースCON立上りCON、土間CONと4回程度打設されます。

住宅では布基礎という形状の基礎が多く採用されます。その中で構造体となるベースCONと立上りCONの品質確保は重要となります。捨てCON、土間CONは構造体とはならないのでベースや立上りほど重要なコンクリートではありません。

寒中コンクリート

日平均気温が4℃以下になることが予想される場合、寒中コンクリートでの施工を行う。
コンクリートはセメントと水が反応し固まる水硬性の材料です。(その他骨材が入ってます)水は氷点下になると凍るため温度が低すぎると当然コンクリートにも強度不足などといった悪い影響が出ます。
そうならないよう寒中コンクリートの施工をJASSなどで定義されています。
定義された施工方法で現場管理者はコンクリートの品質を管理しますが、外気温との戦いになるので暖かい時期のコンクリート打設・養生よりも品質管理が難しいのは確かです。実際に管理するのも大変です。
簡単に寒い時のコンクリート打設を解説しました。これだけでも
・打設後、現場管理者の勤務時間外の養生は適切か?
・休日の採暖ストーブの燃料の管理は?
・採暖ストーブはエラーで止まっていないか?

・捨てCONや土間CONの管理はどこまでなされている?
等といった心配事が増えます。
暖かい時期に施工すればこの心配は必要ないので、できれば暖かい時期の着工が望ましいと言えます。

暑中コンクリート

平均気温が25℃を超え、荷下ろしの際のコンクリート温度が35℃を超える場合暑中コンクリートでの施工を行います。
寒すぎても、暑すぎてもコンクリートは品質に影響が出ます。
厚い場合、硬化が早くひび割れを起こしやすくなります。
暑い日のコンクリート打設にも様々な対策がありますが、寒中コンクリートと同様の理由で5℃~25℃の気温の時期にコンクリート打設をするのが望ましいです。

外構工事のタイミング

秋口や冬の着工の場合、降雪地帯の場合は春先に外構工事をまわすケースがあります。外構工事の主な工事は舗装工事や、カーポートの工事などが挙げられます。

春先の工事期間中に車の置き場所が無くなるタイミングが出来るので、できれば建物と同じタイミングに施工が完了して引き渡してもらうのがベストです。

まとめ

新築をするにあたってベストな時期はなるべく早く建てること。また春先や秋口の施工が良いことを解説しました。

住宅新築などを検討している場合は、以上のようなタイミングを狙って計画すると良いでしょう。

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