・壁を先行して作る場合と、天井を先に作る場合の例
このページでは軽量鉄骨工・ボード工・設備工・電気工などに渡り、絡みが多く計画が重要な壁・天井下地の施工順序の解説などを行っています。
壁下地が先?天井下地が先?
壁や天井の下地の順番について解説をしていきます。壁、天井の下地施工順序について結論から言うと、現場により順番が変わります。
壁の仕様や、施工順序の考え方により様々なケースがあり、一概に「これが正解」と言えるものではありません。次にまとめた3つのケースで、それぞれの考え方を解説していきます。
①天井下地→壁下地→天井・壁ボード
②壁下地→壁ボード→天井下地→壁下地→天井・壁ボード
③壁下地→天井下地→天井・壁ボード
①天井下地→壁下地→天井・壁ボード
壁の仕様に指定がない場合、最も一般的な施工順序と言えるのがこの方法です。
天井の下地を組み、床と天井下地に壁の下地を施工して天井・壁下地を成形します。
画像のような形となり、軽量鉄骨工事が終わればボード工事を始めるという、現場の流れ的にも良い順序とも言えます。軽量工事、ボード工事と並行して行うには広い材料置き場・加工場が必要になるため、施工順序の理にかなっていると言えます。
②壁下地→壁ボード→天井下地→壁下地→天井・壁ボード
壁の仕様に指定がある場合などにこの順序が用いられます。
耐火間仕切りなどの「防火区画」等の指定があり、壁に防火の性能を求められる場合や、マンションの隣室との境の壁に用いられるときに、壁下地を先行して床スラブから天井スラブまで伸ばして施工します。「スラブtoスラブ」などと現場で呼ばれたりします。
床・天井の躯体と躯体を繋ぐ壁というのがポイントで、画像のようにボードも躯体から躯体まで張ります。耐火以外にも「遮音壁」などの理由からこの施工順序となる場合があります。
見出しに天井下地の後にもう一度「壁下地」と入れているのは、スラブtoスラブにしなくても良い壁があれば、天井を組んだ後に施工をするという意味で記載しています。
③壁下地→天井下地→天井・壁ボード
壁の仕様に指定がない場合でも、壁下地を先行する場合があります。
1.壁を境に天井高さが変わる場合
2.壁を境に天井躯体の断熱材吹付けなどがある場合
3.壁を境にブローイングなどの天井裏断熱がある場合
4.天井内機器が多く、先行して天井を組めない場合
一例として上記のような理由から、施工順序の検討を行います。
次に1~4のケースの詳細を記載します。必ずしも壁下地を先行して建てなければならないと言う訳ではないので、検討材料の参考として解釈してもらえればと思います。
1.壁を境に天井高さが変わる場合
壁の下地を先行して組む必要がある例として、壁を境に天井高さが違う場合があります。
図のように壁の下地を先行して施工し、天井を後に組みます。この際天井・壁の下地完了後にボード張りを開始できます。またボードの納まりは天井下のみ施工し、天井内には壁下地のみ残る形となります。
2.壁を境に天井躯体の断熱材吹付けなどがある場合
次にウレタン吹付などの断熱材の施工がある場合に、壁下地を先行するケースを紹介します。
壁を境に断熱材が必要な部屋と、そうでない部屋がある場合に壁下地を先行して施工し、断熱のある部屋側に壁ボードを張り、天井断熱を施工します。その後に天井下地を組むという手順の場合があります。
この時の注意点としては、天井インサートを用意している場合は天井の吊ボルトを施工後、断熱材を施工することです。吊ボルトに養生が必要になります。
また先行して張る片面ボードは天井付近のみ先に張り、断熱材の施工の為だけに捨て張りをするという方法もあります。
3.壁を境にブローイングなどの天井裏断熱がある場合
先に解説した2.とほぼ同じとなりますが、壁を境にブローイングの部屋がある場合に、断熱が躯体吹付では無く天井裏に乗せる場合の手順となります。
壁下地→壁ボード(一部で可)→天井下地→ボード張→断熱材
という施工順序となります。
4.天井内機器が多く、先行して天井を組めない場合
事務所の建築など、設備や電気の天井内への機器吊り込みが多い場合などに壁下地を先行して施工する場合があります。
例を挙げると、機器吊り込みなどの天井内作業に時間を要し先に天井下地を組めない場合などに工区分けをして壁を先行して施工します。
それぞれの施工業者がエリア分け等の工夫により並行して作業が出来て、現場全体が効率よく進むように計画した場合などにも壁下地を先に施工する場合があります。
まとめ
以上のように壁下地が先か、天井下地が先かについては大きく2つの理由からどちらを先に施工してもおかしくはありません。
スラブtoスラブの壁がある場合は、床スラブから天井スラブまでボードを張らないといけないため、天井を施工した後にボードを張る計画だと施工が出来なくなります。
後続作業の事を考えた、施工手順により順番が決まります。
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