【キーシステム】新築工事の鍵発注。建具工事と大きく関わる鍵手配時の注意点

建具工事
この記事を読んでわかる事
・鍵の手配前に確認しておく事
・キーシステム(鍵の構成について)
・キープラン図面等施工図について

鍵を手配するにあたって

新築工事における鍵の配置・種類決めについて、現場管理をするにあたり

・納期がかかる
・建具工事に影響する
・発注者との密な打ち合わせが必要

と、施工完了まで時間がかかるうえに発注者の建物の運用にも影響するため、「手配を忘れていた」「間違って手配をかけていた」などとなれば大問題となります。納期確認と正確な情報で発注が必要な施工管理の超重要な管理ポイントの一つです。

キーシステムについて知る前に、基礎知識である「錠の種類」については別記事【錠種類】ドアや窓についている鍵の名称は?錠の種類・名称を解説にて解説しています。

施工図

鍵の手配に関連する施工図は以下のようなものがあります。

①マスターキープラン
(マスターキーシステム)
②建具施工図

一般的に設計図には鍵の有り無しが謳われています。それはあくまでも積算用であることが多く、「扉のどちらの面に何の鍵が付くのか」まで謳われていない場合があります。
例えば
・WD‐1はサムターンとシリンダーが付く
・WD‐2は電気錠が付く
など。設計図には以上の情報しかなく「廊下から鍵をかけたいのか、部屋から鍵をかけたいのかが解らない」事があります。
そこで発注者や設計者に鍵のつく面が間違いないか確認するときに用いられる図面が①のマスターキープランとなります。加えて、同一キーにするなど「鍵種類の構成」もこの図面に記載します。

マスターキープランは発注者(建物運用者)が決定するケースが多いです

②の建具施工図には①で決まった内容を記載し、鍵に関連する金物の品番等を記載します。
金物の品番は、意匠的な所に影響します。錠とレバーハンドルの整合性などもあり、どの製品を使うかを建具施工図にて確認します。
金物の品番が建具全部で違うことはめったにないですが、間違った発注をしないよう建具1つ1つ確認が必要です。

建具施工図は設計者が決定するケースが多いです

①マスターキープランでは建物運用上の鍵(セキュリティー)仕様を決める
②建具施工図では金物デザインなど意匠的な仕様を決める

マスターキープラン

具体的に図面を用いて解説します。完成形の例が以下の画像図面です。

 

図面の書き方

図面の書き方は、建具のキープラン図面が設計図にあればそれを基に書いていきます。
凡例で記載した

・サムターン
・シリンダー
・空錠
・表示錠
・電気錠
・ホテル錠

等の情報を落とし込みます。平面図に書き込むことにより、全体が見えて解りやすいです。

さらに「マスターキーシステム」と記載している図。これは、どの鍵でどの扉を開けることが出来るのかを系統図で表したものです。

図面の作成者

誰がこの図面を作るか、これは現場により様々です。

少なからず建具表に鍵の有無の記載がある場合は、発注者と設計者で打合せてた上で記載しているはずです。設計者に図面を出してもらうのが自然な流れだと思います。

また鍵のメーカーや建具業者の指定がある場合は、メーカー側で図面を作成する場合も多くあります。

鍵の個数が少ない(扉が少ない)場合など簡単に図面を作れるのであれば、施工管理者がたたき台として図面を作る場合もあり、ケースバイケースで対応するといいと思います。

図面の読み方

マスターキーシステムと書いた系統図を詳しく説明していきます。
図面の建物をホテルだと仮定して解説していきます。

個別キー

個別キーとは子鍵とも言い、1つの扉に対して1つの鍵が作成されます。

例えば、客室1の扉は子鍵①(図面表記:子①)でしか開けられません。客室2~4も同様です。

個別キーが使われる例
・ホテルの客室
・マンション、アパートの貸室  等

同一キー

同一キーもマスターキーシステムでは子鍵と言います。1つの鍵で複数の扉を開けられます。

画像のように「緑の同」と記載されている扉は全て1本の鍵で開けられます。建物の管理人等が使用するために多く使われるのが同一キーです。

同一キーのグループ分け

以下の画像のように、「緑の同1」「赤の同2」のように同一キーのグループ分けをすることも可能です。

例えば、備品管理チームが運用上「赤の同2」しか使わないようであれば上記のようにグループ分けして鍵紛失のリスクを軽減することが出来ます。

同一キーが使われる例
建物の管理人等

マスターキー

マスターキー:図面表記「MK」

これまでに紹介した図面の表では、個別キー・同一キーはマスターキーにぶら下がっています。

マスターキーはマスターキーシステムの表記上、ぶら下がっている錠を全て開けることが可能です。したがって、図面上個別キー・同一キーと記載されている錠を1本の鍵で開けることが可能です。

グランドマスターキー

グランドマスターキー:図面表記「GMK」

主にマスターキーを2種類以上作成するときに作ります。

ホテルが同じような平面で4階建てだとします。上記断面図のように階ごとにMKを作り、建物全体をGMKとして構成することが出来ます。

マスターキーシステムでは以下のようになります。

上記画像の構成ですと、グランドマスターキーで建物全ての錠を開けることが出来て、マスターキーでは階ごとの全ての鍵を開けることが出来ます。

例としてMKは清掃業者に渡し、運用することで、紛失のリスクを軽減することが可能になります。

逆マスターキー

「客室に泊まる客の鍵でラウンジを開けられるようにしたい」などの要望に応える場合に用います。

画像のように逆マスターにすることで、個別キーである「子①~④」の鍵で、ラウンジのWD5の錠を開けることが可能になります。

マスターキーシステムの図は以下のようになります。

逆マスターの良くある例としては、マンションのエントランスなどが挙げられます。

 

以上のようにして鍵のシステムを構成する調整が現場管理には必要です。

鍵本数のチェック

以上のようにサムターン・シリンダーの向きや、マスターキーシステムの調整を行い鍵の仕様を決めます。

発注するにあたっては各鍵の本数も必要な情報の一つです。

■GMK→6本
■MK→各3本
■同一キー→各3本
■個別キー→各3本

などと必要な本数も合わせて確認しましょう。一般的に鍵は3本1セットの事が多いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました