建物位置出しのやり方を解説。建物を正確に作るための最初の重要な業務!

測量・測定
・建築現場における建物位置出しのやりかたを解説
・測量器具の使い方を解説
建物を建てるうえで重要な、現場で一番最初に行う業務が建物位置出しです。
中小企業の多くは現場監督職員が位置出しを行うことが多く、大手企業では「墨出屋」と呼ばれるような測量を専門とした業者もいます。
このページではトランジットや光波を用いた位置出しの方法を解説しています。

建物位置出しの前準備

土地上に建物の位置、大きさを正確に出すためには基準となる点が必ず必要です。

境界石の確認

一般に土地には「境界石」と呼ばれるもので正確に土地の境界が解るようになっています。(境界杭や境界標とも呼ばれます)
またその境界石は四角形の土地形状であれば4隅に計4つあり、その境界石を線でつないだ内側が土地所有者の持つ土地の区分となります。

きちんと境界石があれば基準を作れますが、無い場合もあります。4か所無くても2か所あれば建物の位置出しを行えます。

位置出しをする土地に2点境界石があるかを事前確認します。

境界石がない場合

土地家屋調査士又は測量士などに依頼して境界を作るケースが多いです。

書類上での確認

そもそも境界石(土地の区画)は「地積測量図」とよばれる図面と整合性があります。
調べたい土地の地積測量図は、民事法務協会にて提供されている「登記情報提供サービス」にてダウンロードすることも可能です。(登録が必要)

基準点からの距離・角度を出す

測量士であれば関数電卓等で境界点2点をつないだ境界線からの角度、境界点からの距離を出すことが多いです。ここでは、CADを用いて出す方法を解説していきます。

手順1:フリーソフトのJwCADで土地の境界線を用意

設計図データがあればそれを使用するのが早いです。無い場合は地積測量図に基づいて作成します。

手順2:建物を土地上に落とし込む

建物の外形を通り芯で落とし込み、建物の角を出します。(真四角な平面形状であれば角4点)

手順3:現場の基準点からの距離を出す

現場で確認した境界石から1点を基準点とし、基準点から建物の角の距離を出します。
基準点は測量機器を据付ける位置に設定します。

手順4:基準線からの角度を出す

基準点ともう1点の現場にあった境界石を繋いで「境界線」を作ります。

境界線を基準線として基準線からの角度を出します。

前準備での重要なこと

以上で前準備は終了です。前述しましたがトランシットや光波を実際に現場で設置できる場所を基準点として選びます。図面上で基準点を設けてもいざ現場で測量機器を据付けられない場合、また1からやり直しとなります。

現場での位置出し方法

事前準備で用意した情報を基に、現場で位置を落とし込みます。

準備するもの

・測量機器
・垂木杭
・釘
・のこぎり
・大ハンマーやセットハンマー
・げんのう(ハンマー)
・水糸
・赤鉛筆
・差し金
・スケール
・巻き尺
・カラースプレー

光波を使用するかトランジットを使用するか

光波を使用する場合はプリズムとセットで準備が必要です。距離を機械が出してくれるので光波を使用する場合は巻き尺は使用しません。(メモリの目視で確認したい場合は必要)

トランジットを使用する場合は角度しか出ないため巻き尺は必須です。

またどちらの機器を使用する場合もピンポールが必要です。

トラや光波の使用方法は以下の記事で解説しています
現場の基準墨の出し方を徹底解説!トラや光波初心者は必読!

基準点で測量機器の据付け

事前準備で作成した図面の基準点に機械を据付けます。光波やトランジットを使用します。

機器で基準線を確認し角度・距離を出す

基準点に据付けた機器でもう一点の境界石を覗きます。

境界石側でピンポールをたてる人は測量機器から見て垂直に立てるようにします。

測量機器を見る人はなるべくピンポールの下側を見て機械の向きを基準線にセットします。(ピンポールの下側を見ることによって、誤差が生じにくくなります。)

測量機器のボタンに「0セット」などの表記でボタンがあります。このボタンを押して基準線に角度を設定します。

0度にセット完了

水平角が0にセット出来たことを確認します。次に建物の角への角度を出します。事前準備した図面と同様に、機器を左に回して角度を合わせていきます。

機器から一番近い角を例に説明します。事前準備で確認した角度は21°18’03″です。

機器の設定で右回りと左回りの設定があります。

水平角が逆回りに設定されている

左に回したときに、右回りの設定になっていると写真のように360°から引かれた数値が表示されます。この機器の場合「表示切替」で設定を変えられます。「R/L」ボタンで設定変更するものもありと機器により設定方法は様々です。事前に確認しておきましょう。

21°18’03″に角度を固定したら、もう一人はピンポールにプリズムをつけて距離を測ります。
(トランジットの場合は巻尺)

角度と距離があったところで、垂木杭などを打込みます。
垂木杭の打ち込み終了後、垂木天端が水平になるようにノコギリで切断し、垂木天端に角度と距離の交点を釘で印付けします。

 

正確な交点の出し方
①垂木天端に測量機器からメモリが見えるように差し金を置く
②測量機器から見えるメモリにポイントをつける
③垂木天端の手前と奥で①②をし、ポイントを繋ぐ(角度線を出す)
④角度線上でプリズムを据えて、距離を出す
以上のように建物の角全てに垂木杭を打ち込みます。

水糸やスズランテープなどで角を繋ぐ

打ち終えた垂木杭の天端の釘に水糸やスズランテープなどを結び、建物の外形を出します。

 

まとめ

建物の位置出し方法を解説しました。
ここまで厳密ではなく、大体の位置を出したい場合は基準線にトランジットを据付けて巻き尺などで位置を出す方法などがあります。

建物の位置出し時に基準線の長さの確認(図面と現場があっているか)や、建物の角を出し終えた時点で巻き尺などで建物の外形の確認などをすると正確さが増します。

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