・どこに必要か、参考図面を用いて紹介
逃げ杭って何?
新築の現場管理を行うと必ずと言って良いほど必要になる逃げ杭。
逃げ杭は建物の直線や、直角を出すために設置する杭のことを指します。
別の言い方をすると、通り芯を出すのに必要な杭です。
一般に建築現場ではトータルステーションや、トランシット等の測量機器を使用して建物の壁の長さや建物の角度を管理します。測量の手順は最初に土地の境界である境界石などから建物の位置を出していきます。
仮に平面的に四角形の建物を建てるとして、測量をして建物4つ角のポイント(通り芯の交点)に杭を打ちます。
その4つの杭だけで工事を進めると土工事で掘削をし杭がなくなり、建物の角がどこにあるのかわからなくなります。そうなるとまた振出し(境界石)から測量することになります。
逃げ杭を設置する目的の一つとして、建物の位置を簡単に出し直せるように設けます。設置のタイミングは位置出しの時に通り芯の交点と同時に逃げ杭を設置するのが一般的です。次に詳しくどこに設置すればよいのか解説します。
どこにどうやって設置すればいいの?
1つの通り芯上に2個逃げ杭を設けます。
写真が逃げ杭と、杭を触られないように(目立たせるように)逃げ杭を囲っている状況の写真です。
逃げ杭を使う期間は着工時の建物位置出しから基礎コンクリート打設まで(または1階床が出来るまで)使用します。
設置期間が長いので、杭を触られないように目立たせるのが重要で、これを怠ると重機に踏まれて杭を破壊されたりすることがあります。
また重機に踏まれないよう、設置位置は動く恐れのない所に工夫するのも重要です。
下に参考の画像を用意しました。
灰色部分:基礎 青線部分:根切り範囲 赤丸:逃げ杭
重機を画像に落とし込んでいますが、画像の逃げ杭の位置はあまり良くない位置と言えます。(根切の時、重機に壊される可能性が高い位置)
近すぎると重機に壊される可能性が高く、遠すぎると根切底が見えなくて捨コン上に墨出しをする時に困ります。設置位置は少しですが経験がものを言います。
また仮設通路などがある場合は、離れた位置に逃げ杭を設けます。逃げ杭上に測量機器を立てて掘削底を見ることをイメージして、掘削床が見れないほど離れすぎない位置で設けます。
本数はどれくらいあれば良い?
少なくともX通りとY通りの2つ通り(直角)を出せる逃げ杭は設置したいです。(逃げ杭4本)
あとは建物の規模によりますが、建物外周全部に逃げ杭を設けたり、中通りにも設けたりと、測量することをイメージして検討しましょう。
光波のついた測量機器を用いる場合は通り芯から逃げ杭までの距離も控えておくと、後々役立ちます。
地盤が土ではないとこには逃げ杭ではなく、ピンを設置したり壁に墨を打ったりと代わりの物を設けることも一つの手法です。
まとめ
逃げ杭は着工時に設置して、土工事根切り後の捨コンの墨出しや、基礎CON打設後の基礎天端の墨出し、土間やスラブCON打設後の墨出し作業など数回にわたり使用します。
測量を円滑に進めることを目的としているので、動かないようにするのと囲ってスプレーをするなど目立たせておく事も重要です。
どこかの逃げ杭がやむを得ず壊さないといけない場合でも、距離を持たせていれば他の逃げ杭から測量して復元することもできます。
現場の配置を見て、良い位置に配置するように心がけましょう。
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