・吹付ロックウールの現場施工手順の解説
・吹付厚さ、かさ比重の確認方法
吹付前にやっておくべき計画
吹付ロックウールの施工開始前に段取りしておきたい内容をまとめます。
一般に耐火被覆は構造体である鉄骨に吹付け、耐火とすることが目的です。文字通り吹付けて施工するため他工事との取合いや、仕上げ物の養生方法など事前の計画が重要となるポイントがいくつかあるので紹介します。(主に工事の順番)
②天井吊ボルトの配置「周辺部から150㎜以内」に要注意
③外壁との取合い
④養生方法
①防火区画の耐火壁など、間仕切り壁との取り合い
壁が天井下で収まるのであれば耐火被覆との取合いは無いですが、耐火や遮音などの目的から鉄骨の梁下まで伸びる所は注意が必要です。
「先行ピース」を鉄骨に取りつけて、取付けた後に耐火被覆を行います。
写真の「軽量鉄骨のランナーの受け材」が先行ピースです。
これを用意していないと、壁を作るときに耐火被覆を剥がす作業と補修する作業が発生し手間が増えます。
鉄骨の製作段階で準備しておくのが手戻りが無く、円滑に工事が進みます。
画像のようにコの字型のピースを縦に使用して耐火被覆の欠損があまりないようにします。▢の字型のピースはピースの中が欠損となるので、特別な理由がない限りなるべく使用は控えたいです。
②天井吊ボルトの配置「周辺部から150㎜以内」に要注意
吹付ロックウールは写真の通り「灰色のもこもこした仕上がり」となり美観性があまり良くありません。屋外駐車場などを除けば天井を作って隠すのが一般的です。
そこで注意したいのが「吊ボルトの配置」です。
外壁周辺や部屋の端部など鉄骨から吊ボルトを取らないと吊ボルト設置の基準である「周辺部から150mm以内」を守れない所が出てこないかチェックが必要です。
これもあとから設置するとなると壁と同様剥がして設置後、補修が必要になります。
③外壁との取り合い
外壁を先にやるか?耐火被覆を先にやるか?工程の組み方で耐火被覆を施工する状況(状態)が一変します。
外壁を先に行う場合は「合成耐火被覆」の確認が必要です。
合成耐火被覆とは、収まりで例えると外壁ALCパネルなどと鉄骨梁の隙間は狭く、吹付けで耐火被覆材を梁に巻き込むことはできません。そこで認定を受けた外壁材と耐火被覆材で梁を閉じ込めることによって耐火性能を確保させることを言います。
言い換えれば認定を受けた違う不燃材同士の組み合わせでも耐火性能を確保できます。という解釈です。
詳しく知りたい方は下記URLに詳細が書かれています。
また耐火被覆の使用材のカタログなどに合成耐火被覆の組み合わせ認定が記載されていると思います。例としては下記のようなものがあります。
外壁を後に施工する場合
表裏から吹付可能なので、耐火被覆材を梁に巻き込んで終了です。
④養生方法
耐火被覆の工法で多く使用される半乾式ロックウール吹付では、ロックウール・セメント・水を混ぜ込んで吹付を行います。
先に出した①~③程重要ではないですがサッシを先に施工していたり、天井裏配線や吊りボルトの養生などが必要です。施工時の状況を把握し、施工業者との養生計画の事前打ち合わせも忘れずに。
半乾式ロックウール吹付の施工手順
施工手順を紹介します。
1.材料・機材搬入
ロックウールやセメント、補修材の搬入や
セメントを混ぜ、吹付けするためのスラリーミキサーや圧送するポンプ、ロックウールを吹付けるための吹付機などを搬入、設置します。
2.養生
仕上物や養生の難しい所など、元請けが養生をしておく所と下請けが養生をしておく所は事前に協議しておくのが良いです。
3.吹付け
現場に搬入・設置したプラントからロックウールを細かくして吹付けられるようにします。同時にセメントと水を撹拌して圧送します。
手元のガンからは混ざり合って吹付されます。ブルーシート等で吹付された材料が散らからないように養生しながら吹付けます。
4.コテ均し
コテを用いて平らに均していきます。
5.厚さ確認
設計で定められた厚さになっているか確認ピンを用いて確認します。
6.吹付け施工できない部分の施工や補修(状況に応じて)
厚さの足りない所や天井と梁間(フランジの上端)などを補修材を用いて施工します。
7.かさ比重検査
特記仕様を確認して検査が必要な場合は実施します。
まとめ
現場管理の上で重要なポイントは吹付厚さの確認と、梁上などの吹付しずらい場所がきちんと施工されているかの確認です。
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