【鉄骨造】ベースモルタルの施工方法と重要性

現場管理
・鉄骨柱下ベースモルタルの施工について解説

ベースモルタルとは?

鉄骨造では必ず行うベースモルタルの施工。現場では別名「まんじゅう」「柱下モルタル」などとも呼ばれます。標準仕様書では「柱底均しモルタル」として記載があります。

だいたい3~5㎝の高さを調整するのに用います。

このページでは施工の目的やレベルモルタルの重要性、材料、作業手順などを順に解説していきます。

施工のタイミング

工事工程でどのタイミングで行うかの解説です。
現場により違う場合もありますが一般的な流れとして紹介します。

地階や地下ピットの無い場合

基礎コンクリート打設→脱型→埋戻し→基礎コン天端墨出し→アンカーボルト台直し→ベースモルタルの施工→鉄骨建方

となる場合が多いです。
土間コンクリートを打設してからの施工でも不可能では無いですが、柱脚が土間に埋まる場合は柱数分の型枠が必要になります。よって無駄な手間が増える場合が多いです。

また台直し後にベースモルタルを行わないと、邪魔になって台直しがやりずらい場合があります。

地階や地下ピットのある場合

1F床スラブ打設→(脱型)→ベースモルタルの施工→鉄骨建方→柱回りのコンクリート打設

柱脚が1F床の土間コン(スラブコン)に埋まる場合の順序です。

地階などがある場合、鉄骨建方施工時の床をまず施工する必要があります。
柱脚部分は写真のように型枠でくりぬいて、柱を施工します。その後に柱回りのコンクリート打設を行います。

現場に合った計画を

上記の施工のタイミングは一例です。現場に合った時期を考えて施工することが重要です。

 

施工の目的

鉄骨は工場で製作をして現場に搬入します。柱・梁・ブレースなど全ての部材が精度よく、図面通りに組み立てられるように作られてきます。

そこで現場では、図面に近い環境を用意しなければなりません。

図面に近い環境とは

①鉄骨柱を設置する場所の高さ
②柱の通り(アンカーボルトの位置)

のことを指します。

②の「柱の通り」の解説はここでは割愛します。
①の「柱を設置する場所の高さ」を限りなく図面と同じ高さにることが重要なため、ベースモルタルの施工を行います。

高さの管理が悪いとどうなる?高さ管理の重要性とは

高さがバラバラになると、柱または梁が傾きます。

標準仕様書での「建方精度」は「JASS6 付則6(鉄骨精度検査基準)付表5 工事現場」によると謳われています。

JASS6 付則6(鉄骨精度検査基準)付表5 工事現場 PDF 
参考サイト

その中での「管理許容差は±3㎜」となっています。
仮に柱下の高さがGL-200とすると、現場ではGL-197~GL-203内に収めるようにしましょう。

許容値を超えると…

「柱の倒れ」や「梁の水平度」「建物の倒れ」なども建方精度が決められています。
高さの管理が悪いと建入れ直しを行っても、それぞれの基準を満たせなくなります

ベースモルタルの養生期間は「3日以上」建方開始前に設けないといけません。
建方が始まってからだと修正不可ですので、事前の確認が重要です。

施工手順

標準仕様書によりA種とB種に工法が分けられています。
特記が無ければA種となります。

A種とB種は鉄骨柱の建込前に違いはなく建込み後の施工に若干の違いがあります

柱の建込みに先立ち、その支持に必要な硬練りのモルタル等を、ベースプレート回の中央下部に所定の高さに塗り付け

標準仕様書の柱の建込前は上記の内容です。

仕様書の内容を写真で表すとこんな感じです。

ちなみに写真の中央にある六角ボルトの頭みたいなもの。商品名は「ハシラマン」や「鉄ダンゴ」などいろいろ類似品があるのですが、建方の精度を上げるアイテムです。

基礎コンの硬化前にコンクリートに埋込み、硬化後ネジで高さ調整を行えます。製品によりますが10tくらいまで耐えられるので、設置すればモルタルの施工を行わなくても良いケースもあります。

設置時の注意点としては基礎柱筋とコン天とのかぶり厚さが少なければ製品の埋込み長さのほうが長い場合があります。埋込み長さが少なくなると、ネジを最大まで引っ込めても鉄骨柱脚より高くなることがあるので「何㎝埋め込むか」または「何㎝頭を出すか」の事前の計画が必要です

話がそれてしまいましたが、A種の建込後の施工に関してです。

ベースプレートの周りに型枠を設けて、無収縮モルタルをベースプレートの周囲からあふれ出るまで圧入する。

標準仕様書の内容です。A種は「型枠を設ける」と記述があるのに対して、B種

ベースプレート下全面に十分行きわたるように、適切な方法でモルタルを詰め込む。

ただし、ベースプレートの大きさが、300mm 角程度以下の場合は、モルタルを所定の高さに平滑に仕上げておき、柱を建て込むことができる。

となっています。次に写真で解説します。

A種 柱建込み後の写真

写真左:型枠をベースプレート回りに取付、無収縮モルタルを流している写真
写真右:脱型後

メーカーにより若干工法などが変わります。

B種 柱建込み後の写真

 

写真左:モルタルポンプなどで柱下に無収縮モルタルを充填
写真右:ベースプレートからはみ出るまで充填する

※施工方法の一例です。他にも方法があります

また柱建込み前にベースプレート下にあらかじめ仕上げておく方法は、個人的にはあまりお勧めではありません。鉄骨の製作・現場の通りや高さの正確さが1㎜の狂いもなくというのは不可能です。やはり建入れ直しは必要であり、ベースプレート下が全てモルタルで埋まっていては柱を傾ける調整しろが無いです。よって建入れ直しも難しく(やりずらく)なる為です。

使用材料

施工前には設計図の特記仕様書の確認が必須です。

一般的には流動性がよく、硬化後の収縮のない無収縮モルタルを使用して施工が多いと思います。

最後に

ベースモルタルは鉄骨建方に影響し、精度が非常に重要です。
出来ればレベルの移動なく、1個の基準高さから追えればよいですが建築面積の広い現場だと難しい場合もあります。

バカ棒を用いて測量をする場合は、測量中のバカ棒が垂直な状態で計測できるよう「ベルト式の水準器」を使いながらレベルを確認したり、精度よく工夫して測量することも重要です。

コメント

  1. 宮平 より:

    コメント失礼します。
    無収縮モルタルについて調べているとこちらのHPを見ました。
    そちらで施工してもっらてはいませんが専門の方に相談したくコメントいたしました。

    分譲住宅(新築)に今年2月から入居してます。
    オール電化、太陽光をするために庭に鉄骨を組みその上に太陽光パネル設置予定でした。
    鉄骨の土台部分に無収縮モルタルが入ってない状態で完了となり、主人が通常無収縮モルタルを入れるのでは?と職人さんに確認すると「希望するなら入れますよ」って感じの対応でした。
    無収縮モルタルを入れずに完了となる事はあるのでしょうか?

    ※鉄骨柱の上は四隅の角が開いているような蓋あり。
    土台から鉄骨までの隙間は3㎜~4㎜程度。

    そちらとは関係のないご質問ですみません。
    誰に聞いていいか分からずコメントに入れてしまいました。
    ご回答頂けたら嬉しいです。
    よろしくお願いします。

    • mofumofu より:

      コメントいただきありがとうございます。
      ご説明から察するに太陽光パネルのために鉄骨を組み、その鉄骨柱下に無収縮モルタルは必要がないのかという解釈でお答えさせて頂きます。

      鉄骨の柱下は高さが一定になるように事前に設置面を作ってから鉄骨を建てます。
      そしてその設置面は、面というより点で作る場合があります。(記事中の鉄ダンゴのようなイメージです)

      おそらく施工された業者様も同じようにしているはずで、柱の中心付近の見えない所に鉄骨が載っている状態かと思われます。

      発注形態や規模、鉄骨基礎がきちんとしたものか不明なためお答えするのが難しいですが、一般的な人が住むような建物は当たり前のように無収縮モルタルを施工して完了です。

      太陽光パネルの鉄骨であり3〜4mmのスキマとのことでしたので多少傾いたりしても大きな影響は無いと考えておそらくやっていないのでしょう。(きちんと施工された設置面に乗っていれば傾いたり沈むことはそうそうないです)

      ただそんな隙間が見える状態はカッコ悪いのできちんと埋めてもらうのが通常だと思います。

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