天井伏図に必要な情報とは?図面の書き方と重要性を解説

現場管理
・天井伏図に必要な情報
・天井伏図の書き方
・天井伏図の重要性
建物の天井には照明器具、煙感知器や換気口などなど様々な機器が取り付けられます。天井伏図を作図する必要性と、作図するにあたって必要な情報の解説をこのページで行っています。

天井伏図による機器配置の交通整理

初めに天井伏図を作成する目的を解説します。天井面には様々な機器が取り付けられます。その取付業者は少なくとも3社以上で設置します。
各業者が図面もなしに現場で好きな位置に機器を設置していくと割付がバラバラになったり、必要な位置に他社の器具がついていて、機器を設置できないなどといった不具合が出ます。

綺麗な割付を決めたり、手戻り作業が出ないように交通整理する目的で天井伏図を作図します。

次に作図していくにあったり天井伏図が必要な人(施工業者)を考えてみましょう。
図面を作図するにあたり「誰がどんな情報を必要としているのか」を把握している事が最も重要です。これは天井伏図に限らず全ての図面において言えます。

天井には照明器具や換気口、点検口などの設置位置から天井高さなど必要な記載情報が色々あります。現場により必要な内容も様々となりますが、よくある内容として一例を挙げていきます。

建築業者に必要な情報

建築業者のなかでもさらに業種を分けて例を挙げます。

軽量鉄骨施工業者

軽天とは限りませんが、ここでは天井下地を組む業者として解説します。
天井を組むにあたり天井伏図を一番使用する人と言っても良いでしょう。

天井を組む人は天井伏図を基に各部屋の天井高さを把握し天井を施工していきます。また天井に段差がある場合などの位置関係も図面を元に施工します。

他にも天井下地を施工するにあたり機器の配置を知ることにより補強の必要な場所を把握します。また天井点検口の施工にあたり位置を把握します。

 

他の建築業者

他は現場仕様によります。天井のボード張りを施工するにあたり、補強板が必要な仕様であればボードの施工業者も位置を把握するために必要となります。

またカーテンレールやピクチャーレール、プロジェクターのスクリーンBOX、パーテーション工事など設計の仕様により、天井伏図が必要な人は増えます。主に位置関係を明確にするために必要となります。

電気設備業者

天井を施工するにあたり、美観性に一番影響する業者と言えます。

というのも天井に設置する物は「なるべく目立たないようにするもの」が多いです。天井点検口の場合はデザイン性を主張すると言うよりかは、天井の仕様になるべく合わせて目立たなくさせます。空調の吹出し口や吸込み口も同じで、天井色になるべく合わせるといった仕様が多いです。

一方で照明器具は光りますので、配置がずれると天井で一番目立ちます。

仮に廊下に1列、1m間隔でダウンライトを設置するとします。後に詳しく説明しますが天井伏図の作図手順を間違えると、1m間隔に設置できる所を不規則に施工してしまったりと、きれいな割付を出来る所を出来なくしてしまったりと、各業者の調整が重要になります。

作図の手順で詳しく説明をしますが、ここでは「電気設備の割付は一番重要」と覚えましょう。

機械設備業者

天井吊エアコンや全熱交換器などがある現場仕様の場合は一番天井内、天井面に機器や器具を取付ける量が多い業者と言えます。またサイズの大きい機器も多いため天井下地の切断・補強を多く必要とします。

天吊りの空調機がある場合は冷媒管のほかドレン管の勾配等の配管ルートを考慮する必要があり、機器の配置については施工前の余裕のある時期に決定したいです。

防災設備業者

防災設備については火災報知器、煙感知器、スプリンクラーなどがあり「法にそった配置」が重要です。壁からの離れや配置場所などの決まりがあるため、消防検査等で引っかからないように割付の考慮より、適切な位置に配置することが重要です。

天井伏図の作図方法と手順

業者別にどのような情報が必要(重要)かを解説しました。

天井伏図は元請けが1から10まで作図するという事はあまりなく、建築の天井伏図を作成した上で、電気や設備業者に図面を回覧して機器の配置を落とし込んで貰い、図面を完成させるケースが多いです。

回覧の順番の一例を箇条書きにします。

①建築壁位置(種類)・天井高さ、段差等
②電気設備業者
③機械設備業者
④防災設備業者
⑤建築業者(点検口)

太字にした①と⑤を元請けで作成する場合が多いです。また②~④は専門業者に作図をお願いするといった流れとなります。

ここで作図のポイントですが、回覧する順番が非常に重要です。

最初の見出し「天井伏図による機器配置の交通整理」で説明した内容が生きてきますので順を追って解説していきます。

①建築壁位置(種類)・天井高さ、段差等

壁の位置は一般に機器の配置により変わるものではなく、壁の配置により天井機器の割付を決めていきます。なので作図の順序としては最初に記載します。

また壁の種類について。
天井下で作る壁と、天井内まで伸びる壁とは図面で色分けなどをして解るように記載すると親切です。
天井内のスラブまで伸びる壁の場合、防火壁等であれば配管・配線ルートの検討や貫通部分の区画処理などの作業が発生します。図面を見て壁の種類を解るように作図を心がけましょう。

また天井高さ・段差など天井の形状や高さを図面に落とし込みます。

②電気設備業者

上記で説明した通り、ダウンライトなど「天井器具で一番目立つもの」を設置します。

建築の壁位置・天井段差等を記載した後は電気設備業者に図面を回覧して、照明器具などの位置を落とし込んでいきます。

仮に設備業者に先に図面を回覧してしまうと、照明の割付がきれいに出来なかったりと不具合が出て、再調整が必要になる場合があるため電気設備業者を優先しましょう。

③機械設備業者

電気設備業者回覧後は、空調設備など、機械設備の内容を天井の空いている部分に落とし込みを行います。

吸気口や排気口・空調吹出し口等々、必要換気量などの様々な理由から天井に設置する器具が出てきます。1つの部屋に吹出し口が2つ以上ある場合などは綺麗に割付を行います。

④防災設備業者

次に回覧するのは、防災設備業者です。これもまた天井の空いている位置に機器を落とし込みます。

火災報知機や煙感知器など、法的な設置位置の決まり(壁からの離れなど)があるものもある為知識を持った人が図面に位置を落とし込みます。

⑤建築業者(点検口)

必要な場合、最後に点検口を図面に落とし込みます。
必要になる場合は、天井内に断熱の為ブローイングを吹くときや、天井内空調機の点検のためなど様々な理由があります。

空調機の位置が解らないと点検口の位置が決まらない場合や、天井に割付をするというよりは空いている所に設ける程度でいい場合が多いため、回覧の順番に決まりはないですが最後の方で良いことが多いです。
(空調に点検口が必要な場合は回覧時に落とし込みを依頼する方法が有効です)

作図の注意点

以上のような流れで図面を完成させます。
回覧途中に「この位置に機器を設置したいが、別業者の機器がありつけられない」など調整が必要な場合に、元請けの仕事となります。

また各業者のレイヤーと線種の色分けの依頼をしておくと、誰が見ても解りやすい良い図面となります。

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