軽量鉄骨による壁の施工手順。現場管理のポイントとは?

金属工事
・軽量鉄骨による屋内壁下地の施工方法、施工手順
・現場管理のポイントを解説

軽量鉄骨による壁の施工手順

RC造やS造の屋内で多く用いられる軽量鉄骨の壁の施工手順を解説していきます。

別記事である壁下地が先?天井下地が先?壁・天井工事の施工順序の考え方にて紹介しているように壁下地を施工するタイミングには大きく2種類あります。

①スラブto天井下地
②スラブtoスラブ
天井下地前に施工するのか、後なのかという違いです。
タイミングにより若干作業内容が変わりますので解説していきます。

①スラブto天井下地

天井下地を組んだ後に壁下地を組む場合の作業手順です。
言い換えると、床のスラブ~天井下地までの壁下地です。

全体の流れのフローチャートを記載します。

作業前:天井下地確認、地墨出し材料搬入天井墨出ランナー取付スタッド取付スペーサー取付振れ止め取付壁開口位置出し(設備等)開口部補強下地検査

赤色が元請けが確認する範囲です。
青色が壁下地業者の作業です。
黄色が壁下地業者に関係する別の業者の作業です。

作業前

作業前の詳細内容は後述の見出し「現場管理のポイント」に記述します。

材料搬入

現場に軽鉄材を搬入します。
材料の長さについて、カットして搬入しない場合は基本4mで搬入されます。本数があると結構物量があり、現場にはまとまったスペースが必要です。また現場加工することが多く、加工場の確保や搬入経路の計画を搬入前にすることが重要です。

天井墨出

天井ランナーを設置するために墨出を行います。墨出と言っても最近はーザー墨出機でレーザーに合わせてランナーを施工します。
床のランナーは地墨に合わせ、天井のランナーはレーザーに合わせるといった方法でランナーの通り出しを行います。

画像:レーザー墨出機

ランナー取付

画像のようにランナーを取り付けます。
レーザー墨出機を地墨に合わせて設置し、そのレーザーに合わせてランナーを設置しています。

標準仕様書ではランナーの固定について以下のように定められています。
・端部を押さえる
・間隔900㎜程度に固定
・タッピングネジの類又は溶接で固定
・溶接部はA種の錆止め塗料を塗る
以上のように天井と床のランナーを壁が垂直になるように設置します。

スタッド取付

上下のランナーにスタッドを差込み、画像のように壁下地を施工していきます。

標準仕様書ではスタッドの間隔について以下のように定められています。
・下地張りのある場合は450㎜程度
・仕上げ材料を直張りする場合又は壁紙若しくは塗装下地の類を直接貼り付ける場合は300㎜程度とする
以上のように、スタッドの間隔は
ボード2枚張りなどの場合はスタッドの間隔は450㎜程度
ボード1枚張りで壁紙・塗装仕上げ等の場合は300㎜程度
と覚えておきましょう。
またスタッドは壁面となる石膏ボードの下地となるのが一般的です。
ボードの端部がしっかりとビス止め出来るよう、入隅や出隅部分のスタッドの建て位置には注意が必要です。

スペーサー取付

写真左がスペーサー。写真右がスタッドにスペーサー取付け後の写真です。
スタッドの断面はコの字型になっており、スペーサーをコの字型の空いている面に取りつける事により強度を上げます。スペーサーは押し込めば簡単に設置できます。
職人さんによってはスペーサーをはめ込んでからスタッドを建込む人もいて、順番はどちらでも良いです。スペーサーの間隔は仕様書で定められています。
標準仕様書ではスペーサーの間隔について以下のように定められています。
・間隔600㎜程度、端部を押さえる

振れ止め取付

次に振れ止めを設置します。

写真:赤で囲った部分が振れ止め部材です。

標準仕様書では振れ止めの設置位置について以下のように定められています。
・床面ランナー下端から1.2mごとに設ける
・上部ランナー上端から400㎜以内に位置する場合は省略できる
振れ止めの本数は以上から、スペーサー2個につき1本振れ止めが入ると覚えましょう。
振れ止めの設置まで終わると、壁下地はほぼ完成です。
次からは必要に応じて発生する作業となります。

壁開口位置出し(設備等)→開口部補強

壁に開口が出来る場合、壁下地も開口に合わせて補強します。

主にサイズの大きいダクト類などが壁を貫通する場合などに開口補強を行います。

②スラブtoスラブ

一連の壁下地の施工手順を記載しました。
次にスラブtoスラブについての施工手順についての解説です

とはいっても、先に記述した通りほぼ同じ施工手順となります。

スラブtoスラブの場合、何が違うかというとランナー取付のためのピースが必要になることがあります。

天井のランナーは
・耐火被覆
・ウレタン吹付
などに注意!
天井に上記のような吹付作業がある場合は、事前にピースを施工を行わないとランナーを設置する相手がいなくなってしまいます。
先行ピースについては別記事
に解説しています。
鉄骨造の場合は鉄骨製作時にピースを用意しておくか、鉄骨組立後に溶接して設けるか、方法は色々で、吹付前に準備します。

軽量鉄骨部材について

スタッドの長さにより使用する部材が定められています。

50形→スタッド長さ2.7m以下
65形→スタッド長さ4m以下
75形→スタッド長さ4m以下
90形→スタッド長さ4.5m以下
100形→スタット長さ5m以下
参考URL:JIS_A_6517

スラブtoスラブの場合、天井下に壁を作る場合よりスタッドは長くなるので、現場と使用材が適合しているか入念に確認する必要があります。

現場管理のポイント

壁下地を施工する前の段取りで、地墨の正確さが重要な管理ポイントです。

施工業者は地墨通りに壁を作りますので、墨が間違っていたら壊して作り直すという無駄な作業が発生します。このような余計な作業は絶対に避けたいです。

よくある地墨のミスとして、以下にまとめると

①開口部のより
②開口部の高さ
③開口部の幅
④階段室など上階とつながる壁
などが挙げられます。
特に開口部が要注意です。

①開口部のより

建具図面も熟知した上で配置された平面詳細図などを基に、現場にきちんと図面通りの墨が出ているかを確認します。

②開口部の高さ

建具図面での開口部の高さと、現場の開口部の高さがあっているか確認します。
現場の開口部の高さとは、よくある例として「H=2200」などと地墨と一緒ににマジックで開口高さを記載します。開口高さの伝え方は様々ですが職人に伝えた開口高さの事を指しています。
また基準墨からなのか、床からの高さなのか施工する業者にきちんと伝えて認識の違いが無いようにします。

③開口部の幅

設置する建具にクリアランスを加えた幅なのか、検討された開口幅で現場に出ているかを確認します。

④階段室など上階とつながる壁

吹き抜けとなるような室は下階の床から上階の天井までボードが通るように地墨が出ているかを確認します。

開口補強部材

設計図の特記によりますが、特記が無い場合の「出入口及びこれに準する開口部の補強」補強材の上は梁、スラブ下の類に達するものとしと標準仕様書で謳われています。

開口部についての使用部材についても事前の確認が重要です。

 

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