【解体工事】アスベストは建物のどこに使用されている?部位別に写真付きで解説

その他
この記事を読んで解ること
・発注者が解体前に知っておきたいポイント
・アスベストの使用場所の例
・建物解体費用に大きく影響するアスベストの種類
古い建物に使用されていたアスベスト。
耐久性や耐熱性などの性能がよく、当たり前のように建材として使用されていましたが
中皮腫や発がん性があると判明して使用の中止、並びに令和4年4月には建物解体時の建材のアスベスト含有の報告義務や解体方法、処分方法に規則が設けられました。
住宅など古い建物を解体する場合はアスベスト含有の有無で解体費用に大きく直結します。
このページでは、解体工事に伴うアスベストの基礎知識と、実際に使用されていた場所の例を資材別に解説しています。

建物解体時に知っておきたい住宅のアスベスト

建物で最も身近な住宅。
一般の方がアスベストに関心を持つとすれば、解体するときの費用が最も多いかと思います。

木造の一般的な40坪程度の住宅では150万~200万程度が多いです。坪単価で表すと4~5万程度です。

これがアスベストを含有しているとプラス50万~100万くらいになります。
(上記目安は令和5年に筆者が3社相見積もりした実際の結果です)

アスベストの有無でかなりの値段が変わるため、中古住宅を購入する場合は大掛かりな改修する場合も注意が必要ですし、古家付きの土地を購入して土地を利用するために解体する場合もアスベスト含有の有無は見過ごしてはいけません。

アスベストの種類

アスベストの種類にはレベル1~レベル3があり、レベル1が最も発塵性が高く、危険な分類に分けられます。

建物解体時のアスベスト除去方法もレベル1だと完全隔離が必要となります。作業場所を区画し、作業員は保護衣・呼吸保護具の装着が定められています。また作業場所を負圧・集塵し、外にアスベストが漏れないように措置をします。

解体時には設備・備品を多く必要とし、解体方法、処分方法に規定があるため撤去費用が多くかかります。

大塚刷毛製造株式会社
こちらのページに作業に関する規定が解りやすくまとめられています。
一方レベル3はアスベストが含まれていても発塵性が低くレベル1・2よりも大掛かりな設備が必要ありません。
レベル2は解体業者によって除去方法・費用が変わると思います。
というのも、アスベスト含有の有無を調べる有資格者が解体業者にいるのが一般的です。
レベル2のアスベスト含有物を「掻き落とし・切断・破砕」のする必要がなければ隔離は不要となります。よって解体に伴う設備が大きく減ります。反対に必要であればほぼレベル1と同等の解体方法となります。
「切断や破砕をする必要があるか否か?」の判断は解体業者の判断となる場合が多いと思われます。よって考え方の違いで、相見積もりなどをすると金額に開きが出る可能性があります。
以上のようにアスベストには種類があり、発注者にも多少の知識がないと「アスベストがあるから」と言われ高額な請求をされる可能性があります。
アスベスト検査後、解体する建物にレベル1のアスベスト含有物があるのか、レベル3のアスベスト含有物があるのかくらいの知識は備えておくと良いでしょう。

アスベストの使用例 部位別

それではアスベストが実際どのような部位に使用されているのか。

アスベストを見分ける際、一番重要なのが「吹付材であるか否か」です。
吹付材でアスベスト含有物があれば、それはレベル1に分類されます。

【レベル1に分類されるアスベスト】
・吹付石綿
・石綿含有吹付ロックウール
・ひる石吹付
・パーライト吹付

吹付材がどういうものか解らない方は、施工例を【耐火被覆】吹付ロックウールの施工前に注意すべき点とは?施工手順や段取り、検査方法にて詳しく解説しています。

天井

建物の天井に使用されている例を紹介します。

レベル1

天井で使用されたレベル1の材料です

吹付ロックウール

ひる石吹付

上記写真のような吹付材がアスベストで最も発塵性が高く注意が必要です。

先述した吹付石綿と石綿含有吹付ロックウールの見分けはつきにくいです。
ひる石・パーライトの吹付もざらざらした表面が特徴で、見分けは難しいです。

また写真のような吹付材全てにアスベストが含有されているのではく、1956年頃~1990年頃に施工されたものにアスベスト含有が確認されています。

レベル3

次にレベル3の天井に使用されたアスベスト含有材の一例を紹介します。

最も馴染みのありそうな天井では上記写真のようなソーラトンが挙げられます。

これもまたこの柄の天井全てにアスベストが含まれていたのではなく1971年~1987年付近に製造され、施工されたものが含有されている可能性があります。

建物の壁に使用された例を紹介します。

レベル3

クロス

壁だけではなく、天井にも使用されるクロス(壁紙)

「不燃」と認定された材料で1969年~1991年に製造・施工されていたものにアスベストが含まれている可能性があります。

見分け方については、見た目では解りにくく、クロスの下地層がグレーの場合はアスベスト含有の可能性が高く、壁紙を一部はがして確認する方法もあります。

 

石膏ボード

クロスの下地に使用される石膏ボード。こちらも壁だけではなく天井にも多く使用されます。

石膏ボードのアスベスト含有の見分け方は1970年~1986年までに製造されたものの一部、もしくは防火材料認定番号で見分けることができます。
※ごく一部の製品を除く

設計図に記載されていなければ石膏ボードの裏面を見れば、ほとんどの製品がアスベスト含有の有無を調べることができます。

また現行のJISマークが記載されている石膏ボードにはアスベストは含まれていません。

画像は旧JISマークで、このマークが記載されている石膏ボードの一部にアスベストが含有されています。

石膏ボードのアスベスト含有についての詳細は一般社団法人石膏ボード工業会にて詳しく記載されています。

 

外壁

2枚画像を載せました。

外壁・並びに軒天にもアスベストの含有がされていました。
外壁材そのものにアスベストが含有されているものや、塗料に含有されているものなど外壁・外装材に関しては幅広く使用されていたため、外見で調べるのが困難です。

設計図等に使用されていた材料の詳細が書かれているようであれば石綿(アスベスト)含有建材データベースで特定するか、調査依頼するのが得策です。

次に床材でアスベストが含有されていた例を紹介します。

レベル3

ビニル床タイル

写真のようなビニル床タイルなどの建材にもアスベストが使用されていた例があります。

1952年~1986年頃に製造された製品に含有されている可能性があります。

まとめ

以上のようにアスベスト含有の建材は、住宅を含む建物を構成する部材の多くの部分に使用されていました。

アスベスト含有物の製造年月日などから築40年くらいの建物だと、どこかには必ずアスベストが使用されていると言っていいほど当時製造・施工されていたと思います。

また設備の建材でもアスベストが使用されていて、水道管の保温剤などが挙げられます。
これはレベル2に分類され、建物解体時には適切な処理方法が定められています。

アスベストの見分け方は部材別にみれば多少はありますが、外見上すぐ判断できるケースは稀です。設計図などがあれば石綿(アスベスト)含有建材データベースと照らし合わせ確認する方法か、建材から採取して検査にかける方法が一般的です。レベル1、レベル2に該当しそうな建材があり、建物の解体を計画している場合はまず検査することをおすすめします。

 

 

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