・地足場計画図の必要知識と考え方
地足場の計画の要点
地足場とは、地面より下の構造物などを作るために設ける仮設足場の事を言います。
基礎底部などの掘削底に足場を建込んでいきます。鉄筋・型枠作業の円滑化や、コンクリート打設などを目的に設けます。
地足場で用いられる足場の種類
足場の種類には、単管足場や枠組足場があり地足場の場合は単管足場で計画しすることが多いです。
理由として地足場は建地(柱)の本数をなるべく少なく出来て、なおかつ建地の位置・布板の高さを自由な配置に出来る点で計画しやすく作業性が良いからです。
写真のように枠組み足場で地足場を組むこともあります。根切りが総掘りで足場施工時の床に段差があまりない場合は枠組み足場も有効です。
・総掘り→枠組み足場も視野に計画
地足場の必要性
地足場の有無で基礎を施工する際の作業性に直結します。
地足場が無ければ施工出来ない場所が出てきたり基礎の品質にも影響します。
具体的な例として、平面図と断面図の画像を用意しました。
濃いグレーが梁せいの高い基礎梁、薄いグレーが梁せいの低い基礎梁とします。
(X通りの梁せいが高くYの中通りが低い)
断面図を見るとイメージが湧きやすいと思います。
画像左の低い梁せいだと鉄筋組立後や、型枠を設置したとしても人がまたいで隣のスパンへ移動できます。逆に梁せいの高い右の画像になると人がまたいで隣のスパンへ移動できません。
平面の例を見ると梁せいの高く壁のような梁が20mもあり、なおかつ建物外周をまわっています。鉄筋施工業者や型枠施工業者は地足場が無いと作業性が悪く、鉄筋に足をかけてよじ登ったりと作業性が悪い上、品質にまで影響する可能性が出てきます。
(鉄筋業者は建逃げ施工で地足場が必要ない場合もあります)
以上の事から資材や工具を持ち運びながら施工する人の事を考えると、地足場は必要な工事と言えます。
施工のタイミング
地足場を施工するタイミングは基礎配筋前に行います。
鉄筋を組み立てた後に地足場を設けようとしても、足場施工業者が鉄筋があることにより施工出来なくなります。鉄筋施工業者は地足場はいらないというケースもありますが、多少邪魔になっても型枠・CON打設に必要ならば基礎配筋前に組み立てるのが全体的にスムーズに行くケースが多いです。
また現場により鉄筋・型枠に必要な地足場を基礎配筋前に施工し、コンクリート打設に必要な足場を型枠施工後に分けて施工するなど、現場にあった計画を心がけましょう。
地足場の計画手順
足場の配置の考え方など計画の要点を解説します。地足場の配置のポイントとしては足場の床を多すぎず、少なすぎずする事です。
具体的に「床が多すぎる例」と「少なすぎる例」を載せます。
足場が多すぎると…
赤線部を地足場の床とします。床が多く、良くない例として解説します。
画像の計画とすると、地足場から梁で囲われた全てのマスにアクセス可能です。が、全てのマスへのアクセスは必要ないと考えて良いでしょう。
①足場の施工数量が多くなり、施工費がかかる
②数量が多い分、工期がかかる
③地足場が多すぎると、鉄筋または型枠の施工性が悪くなる場合がある
次に③を少し掘り下げて解説します。
作業:X通りの地中梁へのコンクリート打設
結果:地足場と梁の離れがあり過ぎて、足場上から打設が出来なかった
改善点:梁の近くに足場を通す必要があった
足場が少なすぎると…
次に足場が少なすぎる例を紹介します。こちらも良くない例としての紹介です。
青のハッチ部分は地足場が無くても人が移動できる範囲です。
赤部分が地足場の床です。
画像の平面の場合、建物内のどこにでもアクセスできるのでこの点は必要最小限で良い例と言えます。
①現場の車両動線・人の動線に合わせた配置を
②X方向とY方向の2方向に足場を設けないと足場が耐力的に弱い
ダメな理由である①について、
・車両の動線や人の動線を考慮する
地足場の乗入れ口は、平面でいうと上と下の2ヵ所しかありません。もしこれが現場の作業員休憩所が左にあり、搬入路が右にあるというような配置だと乗入れ口の位置が悪いと言えます。
そのような現場の配置に合っていれば画像の配置で良い計画と言えます。
②の耐力的な所は地足場の場合、人が乗ると重心が上に行きやすいです。
・足場の安全を考慮する
平面の例のように動線が1本の通路で足りたとします。
すると断面図の左画像のように安全面的な所で足場の転倒の考慮も必要です。
コンクリート打設等になれば足場上の片側に人が集中して乗ります。画像右のようにやらず等の対策が必要かもしれません。
地足場の配置例
地足場の計画手順でダメな例を2つ挙げ、どのような所に注意するかを解説しました。
施工費・工期、作業効率や、移動の利便性、安全面を考慮すると下記のような配置が望ましいと言えます。
建物内への動線の考慮からX方向Y方向双方に乗入れ口があった方が効率が良い場合が多く、なおかつ安全面で足場の倒れ防止にも繋がるので画像のような直交する配置が良いとしました。
地足場通路の配置計画としては、スパンの中央に足場を設けるのでは無くどちらかの梁に寄せることにより、型枠の置き場所や昇降のしやすさ、コンクリート打設にも考慮します。
計画の手順まとめ
計画に関して注意するべきポイントをまとめました。「良い例」と「悪い例」を紹介しましたが、現場管理では建物のサイズや基礎高さは様々です。紹介した内容が当てはまる現場もあればそうでない現場もあると思いますので、参考程度に見て頂ければ幸いです。
また計画した内容は実際に施工する業者の他「鉄筋業者」「型枠業者」「コンクリート打設関連業者」に少なくとも関わります。計画内容の共有は業者に行っておくと現場が円滑に進みます。
施工図の書き方
地足場の計画が決まれば、いよいよ施工図に落とし込みを行っていきます。
施工図に反映させたい内容は下記の通りです。
・地足場の配置位置
・地足場の幅
・地足場床の高さ
・昇降設備の位置と種類
・手摺の段数や巾木等の副資材の数量が解るように
平面図に足場の配置・幅・建地間隔を落とし込む
配置は計画の通り図面に落とし込んでいきます。落とし込んでいく際に作図の必要知識として足場幅や建地間隔などは部材の規格や法令の知識がないと作図できません。
単管足場に使用する材料の規格から解説します。
単管や足場板の規格サイズ
㈱ニシケン様より引用
単管などには規格サイズがあり、上記引用元に使用する材料のサイズ詳細が解りやすく記載されています。
中でも覚えておきたい部材の規格を下記に挙げます。
径:48.6㎜ 長さ:最大6mから0.5m刻みで短くなる
・鋼製足場板
幅:250㎜ 長さ:1m、1.5m、2m、3m、4m
(引用元だと単管パイプ5m~となっていますが最大規格6mまであり。リース先により保有在庫が違う場合もあります)
地足場は上記の規格サイズを把握していればほぼ計画出来ます。まず足場の幅は鋼製足場板を何列にするかで決まります。今回は3枚敷で計画する仮定で話を進めます。
鋼製足場の1枚の幅は1枚250㎜ですので3枚で750㎜となり、単管建地の芯~芯だと800㎜(程度)として幅を図面に記載していきます。
(仮設ですので数㎜は丸めて図面に記載しましょう)
次に建地の間隔を決めます。建地の間隔は単管足場ならではの利点で自由に決められます。が、法令で決められた間隔があるのでその寸法内で計画する必要があります。
建地の間隔は、けた行方向を1.85m以下、はり間方向は1.5m以下とすること。
建地間隔の内容は断面図で引き続き解説します。
断面図を記載する
配置・幅・建地間隔を平面に落とし込んだら次に断面図を作成します。
断面図で重要なのは高さ関係を解りやすく記載することです。
まず話を戻して建地間隔の説明です。画像の上図面がけた行方向の断面図、下が梁間方向の断面図です。法令で定められた寸法以下になっているか確認します。
次に高さ関係の内容ですが、地足場の高さ関係を図面に落とし込んでいくにあたり重要な点があります。根伐り床の深さと地足場の床高さの関係は誰が見てもわかるように記載すること。これは足場の材料拾いや各業者の作業性の良し悪しの確認をするのに必要な情報と言えますので、必ず記載しましょう。
昇降設備位置などの詳細内容・手すりや巾木の仕様
最後に平面図に昇降設備の位置や部分詳細がわかるように作図します。
昇降設備も「モンキータラップ」を使用したいのか「ハイステップ」を使用したいのか計画した内容を解りやすく伝えられるようにしましょう。
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