・捨コンとは何なのか、目的や画像を用いて使用事例を紹介
・現場監督初心者向けの管理方法を解説
捨コンって何?
別名「均しコン(ならしこん)」とも呼ばれる捨てコンクリート。建築では一般に基礎下、土間下に打設します。
「捨てる」というネーミングを使用したコンクリート。一般の方が見ると「どんなコンクリートなの?」と思うでしょう。
簡単に言うと、型枠や鉄筋などの作業面を作る為のコンクリートです。
建築を料理に例えると、目的物を作る過程で野菜や肉を切ったりと包丁で何かを切る作業が発生します。
捨てコンは、まな板のような存在で、作業面を平らにして作業性や精度を良くする為に必要なものです。包丁をまな板無しで扱おうとしてもやりにくく、きれいに作業出来ないですよね。
・型枠はコンクリートに釘を打ち、CON打設中もずれないように固定します。
捨コン面が砕石や土だと釘留めも出来なければ、サイコロが鉄筋の重さで地面に食い込む可能性があます。精度を保つためにも捨コンは重要な役割を持っています。
また「捨て」と言うのは業界用語です。建物的には構造耐力上必要のない部分(無くても問題ない)ですが、作業には必要なのでこのような名前になったのでしょう。
強度
構造上必要のない部分と先述しましたが、設計図書で強度が定められている場合が多いです。打設の際は強度確認が必要です。
現場管理の方法
一般的な捨コンとは何か?と言う所に触れました。ここからは少し専門的な捨コン打設前~打設完了までの流れを解説していきます。
現場によって捨コンの用途がいろいろあります。今回は基礎下の捨コン打設を想定して解説しています。
打設前のチェック内容
ここの管理が一番重要です。
具体的なチェック内容を箇条書きにまとめます。
- 砕石天端高さ(厚さ)の確認
- 捨コン幅の確認
- 捨コン厚さの確認
- ポンプ車・生コン車の配置計画
- 打設時の基準レベルの位置の確認
- (業者手配・コンクリート試験)
以上の内容が重要な項目となります。
一般的には捨コン下に砕石が入るので、砕石がある前提で解説していきます。
1.砕石高さ(厚さ)の確認
ここの手順は前回記事で土工事の段階での根切底のレベル確認方法を解説しました。
参考記事:土工事の管理ポイントを解説。ばか棒のレベルの出し方は?
根切底のレベルと砕石の厚さをきちんと管理出来れいれば、この項目は特に気にする必要はありません。確認できていない場合は、この段階で砕石天端の高さ・厚さを打設前に確認しましょう。
2.捨コン幅の確認
必要な捨コンの幅が現場に出ているか確認します。必要な幅とは、基礎の幅+200㎜程度欲しいです。
200㎜というのは、基礎の両側に最低でも100㎜ずつ見込みます。(型枠固定のため)
捨コン高さが50㎜や60㎜であれば基礎幅から両側に100㎜~150㎜、100㎜の捨コンであれば最低200㎜くらい見込みたい所です。(この幅は人により考え方が違うと思います。コンクリートの総量に大きく影響するため、管理初心者でここを任された場合は事務所内でも確認が重要です)
3.捨コン厚さの確認
打設中は高さの目安になるものが必要です。ポンプで打設する人や左官業者が高さの目印を見ながら打設を行います。
会社によりやり方が色々あります。一般的な方法として
- 鉄筋などを地面に挿してテープを巻いて目印にする方法
- 木杭を地面に打ち込んで狙いのレベルで切り落としていく方法
などの方法があります。
1.鉄筋のイメージ写真
この方法は設置が楽ですが、打設中にポンプに倒されることがあります。
2.木杭のイメージ写真
設置が少し手間ですが、頑丈で動くことがまずありません。
4.ポンプ車・生コン車の配置計画
捨コンは現場で初のコンクリート打ちとなることが多いです。ポンプ車・生コン車を縦列させるとスペースが必要です。ポンプ車の位置・生コン車の搬入・搬出路の計画をしておきましょう。
場合によっては敷鉄板も必要ですので、路盤の確認も行います。
5.打設時の基準レベルの位置の確認
一般的な住宅規模の建物であれば1か所あれば十分です。広い建物や長い建物で打設を行う場合は基準の高さのポイントは2つ、3つとあったほうが高さの精度が高くなります。(打設中は回転レーザーレベルを使用するのが一般的)
使用する機器で性能が大きく変わりますが30mに1か所くらいは用意したい所です。
回転レーザーレベルの水平精度の一覧表
体験談として、レベルの基準を2つ用意していた現場がありました。基準は現場隣地のコンクリートブロック擁壁に出していました。その中で打設を行った所、全体の半分ほど打ち終わったときに2点のレベルが全く違うことに気づきました(3㎝程)。
結果、後日解りましたが根切り後に、基準を出した擁壁ごと少し沈下していたのです。打設中に気づいたので考える時間もあまりなく慌ただしく打設を行いました。
打設前の少しの確認で打設中の余裕に繋がる良い教訓として覚えていて、2点のレベルのポイントがあっているかどうかの確認も非常に重要です。
6.業者手配・コンクリート試験
コンクリート打設は「コンクリートの手配、ポンプ車の手配、土工事業者、左官業者、強度試験などの試験手配」など多くの業者の協力があって初めて打設できます。現場の確認では無いですが業者の手配忘れは命取りになるので必ず確認が必要です。
打設中のチェック内容
事前に出している幅通りに打設されているか、狙いの高さ通りに打設されているか、左官業者の均しは良いか、またコンクリート数量確認、写真撮影が主な仕事です。
不具合が無ければ、写真以外は端から見たら立って見ているだけの状態です。(なかなかそんな打設は無いですが、、)
打設完了
コンクリートが乾ききる前までに雨が降ると天敵です。墨出しの際に見えずらい墨しか打てません。(コンクリート表面が白くカサカサになるので)
また、捨コンは構造物では無いので、杭がある場合は被っていないか確認しましょう。
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