・敷設計画のそれぞれのメリット、デメリット
・クレーン1台で荷受けしながら鉄板敷を行う際の搬出入計画の目安
(鉄板枚数)
現場で使う一般的な敷鉄板の規格サイズ
建築の仮設工事で使用する敷鉄板の目的は地面の養生や、車両のスムーズな走行ができるように敷設します。そしてその目的、用途に対応できるよう鉄板の規格サイズは様々なものがあります。
寸法 | 厚さ | 重さ |
1,219×2,438(尺4×8) | 22㎜ | 513㎏ |
1,524×3,048(尺5×10) | 22㎜ | 802㎏ |
1,524×6,096(尺5×20) | 22㎜ | 1604㎏ |
上記の表は現場でよく使用される物です。さらに細かい規格サイズがあり、もっと詳しく知りたい方は 三喜㈱公式HP 様に詳細が解りやすく記載されています。
また大型のトレーラーやトラック、クレーンなどの走行を用途とする場合は上記の表の通り、22㎜厚の敷鉄板を使用することが多く、その中でもメインの仮設通路などに敷きつめる場合は表の青い箇所である5×20のサイズを使用するケースが多いです。
5×10は1枚が小さいので若干取り扱いやすくなる(運搬・場内移動)のは良いですが、地面の不陸があると影響を受けやすいです。
敷鉄板のサイズは尺貫法が適用されています。現場で㎜単位まで寸法を求められることは無く、1枚あたり1.5m×6mのサイズと覚えておけば敷設された敷鉄板を数えながら現場内の距離をある程度把握できるので、覚えておきたい所です。
良く使用される1.5m×6mの敷鉄板。その重量は約1600㎏となります。当然重たいので搬入から敷設までを行うには重機を使用しないと動かせません。
搬入を計画する前に知っておきたいこと
重機を使用しないと移動できない敷鉄板。搬出入時に覚えておきたい点が1点あります。
「油圧ショベルの用途外使用」という規則が安衛法で定められています。
要点を簡単に上げると、基本原則ユンボやバックホーなどでは吊荷作業をするのは禁止です。と決められています。ただし以下の場合は例外で使用しても良いとなっています。
・作業の性質上やむを得ない時、または安全な作業の遂行上必要な時
・土止め支保工の組立、解体
また吊荷の最大荷重にも規則があり、1t以上の物は吊り上げられません。
規則の詳細は、
バケットの平積容量(㎥)×1.8トン未満かつ、1t未満
です。
0.7㎥のユンボの場合は1.26トンとなり、1t未満の制限が適用されます。
0.45㎥のユンボの場合は0.81トンとなり、810㎏までの制限となります。
この規則に鉄板を当てはめると22㎜鉄板の場合5×10が802㎏、5×20が1604kgなので、5×20は油圧ショベルでは扱えないという事になります。
実際に現場で油圧ショベルでは鉄板を吊れない?と言われれば、0.7㎥であれば作業装置のフックを使用すれば吊れます。また0.45㎥であれば操作のうまい職人であれば排土板とバケットで鉄板を抱えるようにして運搬できます(危険です)
搬出入時に伴い事故があった場合は現場代理人の責任になります。規則の範囲内でやむを得なく油圧ショベルを使用した鉄板移動等の作業をする事もあると思いますが、規則があるという事を理解し、安全に作業出来る計画を心がけましょう。
・油圧ショベルの鉄板吊りは原則禁止。ただし例外が認められている
・5×20の鉄板は油圧ショベルでは扱えない
敷鉄板の搬出入計画
サイズを色々出すと話がややこしくなるのでここからは5×20(約1.5m×6m)の鉄板を扱うという仮定で話を進めていきます。
次に現場への搬入・敷設方法を紹介します。
1.ユニックで搬出入
搬入
ユニックで現場に敷鉄板を搬入する方法です。
ユニックにも車両のサイズが色々あります。積載荷重の関係から1度に積める枚数は、12tユニックは7枚まで、6tユニックは4枚までとなります。他の搬入方法と比べて多くの枚数を1度に運べないというデメリットがあります。少量の運搬が必要な時はこの方法が最適です。
敷設
搬入した車両のブームでそのまま鉄板を敷けます。クレーン等の鉄板を敷設するための重機を別に用意無くていいのがメリットです。
敷設時のデメリットとしては鉄板を車両の横に敷くことしか出来ません。
ブームを車両の前や、荷台の後ろに伸ばして敷きたいと思っても出来ませんので、敷設計画には注意が必要です。具体的な敷設の例として「鉄板を横敷きで通路を作りたい場合」などは鉄板無しでユニックが走れる環境が無いと出来ません。
「鉄板横敷き通路」をしたくて車両の走れない地盤の場合はどこかにいったん鉄板を堆積し、堆積した鉄板を別途クレーンで吊り、敷設していく必要があります。
搬出
搬入・敷設での要領と同じです。鉄板の長手方向に横づけして撤去可能です。
長い間敷鉄板として使用していたものは、鉄板が少し沈下して土にめり込み、フックで掴みにくいです。鉄板の吊具により吊りやすさが全然違うので、どのように搬出をするか作業前に搬出業者との打ち合わせが重要です。
・クレーン等の別途敷設・撤去のための重機が不要
2.トレーラーで搬出入
搬入
トレーラーでの搬入は、一度に多くの枚数を搬入できることがメリットです。20枚程度積んで現場に搬入が可能です。荷下ろしはクレーン等の別の重機を使って荷下ろしします。
敷設
敷設はトレーラーでは出来ないので、荷下ろしと同様クレーンなどの別の手が必要です。
搬出
クレーン等で別途トレーラーに積込を行います。
・トレーラー旋回場所や停車場所など搬出入計画が必要
1日に何枚敷設・撤去が出来る?
搬入から敷設、搬出までの方法を2つ紹介しました。
ここからは実例に基づいた具体的な1日の敷設・搬出枚数の目安を紹介します。現場によりケースバイケースの話になりますので、あくまで「枚数の目安」として解説していきます。
クレーン1台(オペ1名) 手元作業員2名で搬出入・敷設
先述したトレーラーで搬出入、クレーンで敷設・撤去した方法です。
結論から言うと搬入は横敷で1列仮設通路る計画で、1日に40枚敷けました。1日に40枚というのもトレーラーで3回搬入。50枚搬入し、40枚敷設しました。
搬出作業も搬入と逆の手順で行い、同じ枚数の返却でした。
作業の条件
画像のような条件で作業しました。建物下の番号を振っている部分が鉄板で、仮設通路とした所です。鉄板の仮置き場所を3ヵ所として計画し、搬入をしました。
作業の手順(搬入)
1.朝一に①の鉄板仮置き場にクレーンで鉄板を堆積
(トレーラーはすぐ現場退場)
2.左から順番に鉄板敷きを行う
3.作業半径が届かなく、1回のクレーン移動をしつつ20枚敷設完了。
4.PMに②の鉄板仮置き場にクレーンで鉄板を堆積
5.続きを敷き進める
6.夕方に③の仮置き場に鉄板を堆積
画像のように徐々に右に進んでいくという作戦で敷詰めていきました。
搬入時は、慣れてくると仮置き場はそんなに使用しませんでした(直接通路に敷いていきました)。
搬出時はトレーラーが来るまでの間に、なるべく鉄板を堆積し、クレーンを移動させ作業したので仮置き場がいい働きをしていました。
上記作業にあたり、トレーラーは1台折り返しで作業をしていたのもあり若干クレーンに遊び時間がありました。トレーラーの台数を増やせば搬入・搬出の枚数は増えましたが、現場に見合ったちょうどいい枚数の計画だったと思っています。
以上の事から条件の良い広さがあったので堆積場を作れたのでスムーズにいきましたが、敷地が狭ければ計画は難しいです。(枚数も減る)
まとめ
敷鉄板の搬入・敷設・搬出方法と、搬出入時の枚数の目安を紹介しました。
現場着工時や、終了時の仮設計画で敷鉄板を多く使う場合の目安として使用してもらえると幸いです。
現場に見合った計画とし、鉄板を扱う業者との打ち合わせも重要です。事故も発生しやすい作業ですので十分に安全にも気を使いましょう。
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